石窯パンと焼き菓子の店 酪 | くらす はたらく いちはら

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「そういえばあの店美味しかったから、せっかくだから寄ってみようか。」そんなふうに思い出して来てくれるお店でいい。石窯パンと焼き菓子の店 酪

都内で商社マンとして世界を飛び回っていた林さん。30代の時、先に養老渓谷へ移住していた父親が癌になったことがきっかけで脱サラして移住を決意。パンを一から学びながら、石窯やお店を1年半かけて自分でつくり、3年後「石窯パンと焼き菓子の店 酪」をスタート。そんな林さんのパンのファンは多く、土日のみのオープンにも関わらず、県内外問わず朝から多くの人が訪れる。パン以外にもケーキや自家製ベーコンを使用した窯焼きピザなどもあり、天気のいい日は綺麗に整えられたガーデンテラスで自然を感じながら食事を楽しめる。

住所千葉県市原市朝生原220-1
電話番号0436-96-1299
営業時間土日及び祝祭日11:00〜16:00(お盆休み、紅葉時は特別営業有り)
定休日月火水木金
ウェブサイト https://htetsu0604.wixsite.com/website?fbclid=IwAR1M-qztLC4UVRr5NLkJSD61dMnPmq0lr1BAmQdno0O5zpbHStQ995-C_TE

「店を始めるなら食べ物がいい。不景気になっても必ず人が必要とするのが食べ物だから。」その言葉に火がついて、パン屋を開業。

「移住してから、田舎で他に何もやることもなかったんで(笑)、両親と今まで話さなかったようなこともじっくり話ができたんです。その時に父に『何か店をやれ。』と言われ、家族で何ができるか話し合いました。
『ものづくり(製造業)をしておくと結果がついてまわるし、つくるなら食べ物がいい。不景気になっても必ず人が必要とするから。』父のその言葉に火がついて、色々考えて行きついてパン屋をやることにしました。パンであればその場所で売れなくなっても、作ったものを持って移動販売ができると思ったんです。」

その後、パンを一から学びながら、石窯やお店を1年半かけて自分で作り、3年後1996年11月9日、パン屋を創業。今では当たり前に聞くDIYだが、当時はとにかくお金がなかったので、そうせざるを得なかったと笑いながら話す林さん。

「オープンした日のこと未だに覚えているけど、こんな場所だし、本当に人が来るかもわからなかったので、その時唯一知り合いだった新聞の配達をしているご近所の方に手書きのチラシを1000枚コピーしたものを直前に配ってもらったんです。パンは前日に寝ずに精一杯可能な限りつくりました。でも初めてだから失敗も多いし、作れる量も少なくて。そしたら当日、お店の前にチラシを握りしめて30人くらい並んでるんですよ!パン屋が珍しかったんでしょうね。(笑)最初の10人くらいでパンがなくなっちゃって、待ってた人たちもみんな怒っちゃって、土下座すらしなかったけど、帰るまで頭下げっぱなしで。本当に何もわかってなかったですね。『明日また頑張りますから。』って謝って、3日くらいは寝ずに毎日作りましたね。10日目くらい以降お客さんがめっきり減っちゃったんですけどね。(笑)人生の中で一番焦ったかもしれません。」

今では沢山の種類を作っているが、当時は数種類しかつくることができなかったそう。左が手づくりの石窯

「そういえばあの店美味しかったから、せっかくだから寄ってみようか。」そんなふうに思い出して来てくれるお店になりたい。


「何か謳い文句も言えるほどのものはないので、看板を見て、どんな店?と思いながら恐る恐る入ってみたら、『こんなところにお店があるの?!』って言って、また2年後とかに養老渓谷に来た時に、『そういえばさ』って思い出してもらって寄ってもらえたらいいんです。それが僕らの自然体なんです。」

移住当初、水道を引くことができず、自分たちで掘った地下水と近くの酪農家さんから買い付ける生乳を今でも使用してパンをつくっているそう。

移住してよかったのは、自然と共存していると感じれる暮らしがあること

平日は焼く日を決めて、移動販売や卸もさせてもらって土日のみ店舗で販売する。そんな風に年相応の働き方をできていて、今が一番楽しくできていると話す林さん。
「毎朝4〜5時に仕込みをするんですが、特に春や秋の季節のいい頃は、裏の竹やぶで風の音を感じたり、ホトトギスの声を聴きながら、『無理しちゃいけないんだな。自然と共存してるな。』って感じるんです。
『そういったところ(環境)で作っているんですね。』ってお客さんから言われることも多くて、感覚的にやっているけれど、そうやってお客さんから思ってもらえるような味になっちゃうのかな。自然体でいられるとストレスなく仕事できるし、それはこの場所で仕事する良さですね。」

自然との共存ということはいい時も悪い時もある

「ただ、一つだけ学んだのは、台風で被害を受けるとか洪水で被害を受けるとか、ここ4年くらい特に天候不順で大変だったんです。そんな中、皆さんが私どものやっている商売をあてにしてくれる。親父が言ってくれてたことはそこなんだなと。不安になると、自分たちの生活の基盤を求めようとしますよね。そこの商売に携われたことは、私たちにとって幸せだなと感じます。何がいいというよりも、結果的によかったねっていうこと。こんなことは20年前には気づかなかったですね。今更ながら父のおかげだと感じます。」

ガーデンもさることながら、そこから見える一面の空と畑は絵に描いたよう。今後は音楽祭をやったりしながら、食と音楽で地域の人たちが関われる場所をつくっていきたいと考えているそう。

終始優しい笑顔で、あくまでも「自慢できるものなんて何もないので」と低姿勢の林さん。
それでも会話から、しっかりとこだわりが感じられました。お近くにお寄りの際は、田舎パンやNYチーズケーキなど、人気のパンを買いに行ってみてはいかがでしょうか?すぐに売り切れてしまう場合もあるので、電話して確認するのがオススメです!