2019年に築70年以上のこの家に移住してきた河村さん(かわむら・つとむさん、以下、河村さん)。自分の手でDIYしながら、新旧の良いところを掛け合わせた心地の良い生活をかたちにしています。
河村さん 駅から徒歩3分なのに500平米以上の土地のある古民家。一見相反する条件が奇跡的にそろったのが、ここに住む決め手でした。
2019年に、小湊鉄道線の上総大久保駅からほど近い築70年以上の家に移住してきた河村さん。庭先には薪がずらっと積み上げられ、納屋には豊富な種類の工具が並び、自分の手で必要なものをつくる暮らしの一端がうかがえます。
そんなお家の玄関をくぐるとまず目に飛び込んでくるのが、ハイカウンターを利用したWEB会議スペースと薪ストーブ。そして部屋の中からは、焼きたてパンの香ばしいにおいが漂ってきます。
河村さん 朝起きて、まずは火の仕込みから1日が始まります。そのあと、太陽が上りきってまぶしくなる前に、ウッドデッキで朝食を食べるんです。
10時半頃にやよいさん(奥さん)が焼いたパンが仕上がるまで、僕は外で薪を割ったり、山で作業したりします。
移住前は下北沢でコワーキングスペースを営んでいた河村さん。オープンソースの勉強会やプログラミング道場などを通し、多様な国籍や職業の人々が集う場所をつくっていました。
そんななか、活動の幅も広がる一方で、その場所では「楽しみ尽くした」と感じ、もっとスペースがあり、あまり音の心配をしなくても良い場所に移りたいという思いが強くなり、移住を決断したんだそうです。
河村さん ここでの暮らしって、都内よりも自由度が高いんです。東京だとインフラが整っているけど、自由に変えられない部分が大きくて。
河村さんの「自由度の高い暮らし」は、まわりの山や木々、川や畑も生活の中に取り入れて、居住空間をカスタマイズしたもの。最新技術を駆使しながら、昔ながらの生活様式も大切にしています。
お風呂を薪でわかす一方、火加減は遠隔カメラで監視する。
山でチェーンソー作業を行うかたわら、木々に囲まれながらWEB会議を行う。
エアコンを使わない代わりに、部屋のハンモックで涼む。
近所の人がつくる野菜を集落の直売所で買い、おしゃれな雑貨はネットショッピングで注文する。
テクノロジーは少し古いものとの相性もよく、新旧の良いところを掛け合わせた心地の良い生活をかたちにしている河村さん。便利さを保ちつつも、自然を活かした田舎暮らしはどこか近代的で、少し先の未来を感じさせます。
そんな河村さんは、自分で育てた小麦や奥さんのお手製の酵母をつかって、じっくりかまどで焼き上げた手作りパンをつかって、家の近くにパン屋をつくるという次なる目標に挑戦中。大久保で、そんなパンを食べられるようになる日がとても楽しみです。
みなさんも、南いちはらで、河村さんのような新旧を掛け合わせた里山暮らしはいかがでしょうか?