2021年6月に二拠点居住先としてU-ターンしたばかりの前田祐司さん(まえだ・ゆうじさん 以下、前田さん)。
「リスクをあまり取らず、まずは小さくやってみる」をモットーに、かき氷屋さんをはじめ、さまざまなプロジェクトに携わりながら、この地域の魅力である、ゆたかな風景を守る活動に取り組んでいます。
そんな前田さんの話は、何も特技がなくても「何か始められるかも」と、こちらまでワクワクしてしまいます。
移住してみたいけど、何しよう?と迷っている方のヒントが詰まった、前田さんの活動。きっと一歩踏み出すきっかけになるかもしれません。
2021.10.20.Kaori HOSOYA
加茂地区、石神。養老渓谷という観光名所もあり、紅葉の季節になるとたくさんの人が訪れるこのエリアで生まれ育ち、高校卒業後に東京へ出てからは公務員や海外での仕事、自営業など、さまざまなことにチャレンジしてきたという前田さん。
そんな前田さんがUターンを考えるきっかけになったのが、コロナ禍での社会の変化。在宅ワークに切り替わったことで自由に動ける時間が増え、あきさんと一緒に古民家カフェをめぐりながらオーナーさんの話を聞いたりするなかで、だんだんと田舎暮らしの魅力と可能性を感じていったのだそう。
そんななか、前田さんの気持ちを一気に動かしたのが、たまたまお正月に田舎へ帰省した時にお父さんから紹介された、高橋さんとの出逢いでした。高橋さん自身もUターンをし、地域おこし協力隊の活動を経て、南いちはらで菜の花畑の管理やカフェをオープンさせたりと、さまざまな活動をしていたのです。そんな話を聞くうちに「自分でも何かできるかもしれない」と強く感じたと言います。
前田さん 何をしようか全く考えてもいなかったですが、5月に仕事を辞めて、6月にはかき氷やさんをオープンさせてましたね(笑)
『なりふり構わず、スピード感を持ってやることが大事』と感じている前田さん。
その言葉通りの速さに、当時、入籍したばかりの奥様とそのご家族はとても驚かれたそうです。しかし、圧倒的な速さで物事が決まっていくことで不安もなく、逆に面白かったと2人は笑いながら振り返ります。
都会ではお隣さん同士でも挨拶もしないような関係が普通ですが、ここではコミュニティーが小さい分、みんなが知り合いで、お互いに挨拶をしたり、近所で助け合うことが当たり前。その関係性と昔から変わらない自然の風景に、通ううちに魅力を感じるようになったという前田さん。これからは、この変わらない風景を今後も残していきたいと強く感じているそうです。
前田さん 昔は盆踊りも花火大会も年に2度あって、たくさんの人で賑わっていたんです。今はそれも無くなってしまって少しさみしいですが、資源は沢山あります。だから、今後はSNSなどを使って、昔からこの地域の人たちが大切にしてきたものをうまく活かして、もっとたくさんの人に楽しんでもらえる場所にしたいんです。
現在は、観光地としてはまだ足りていないお土産グッズのデザインを二人で考えたり、菜の花畑の保全活動や秋の紅葉シーズンに向けた新たな出店も考えていて、「やりたいことが沢山なんです!」と目をキラキラさせて、意気込むお二人。
前田さん もちろんいいことばかりじゃなく、大変なことも、ここならではのやり方もあります。
地域の情報はネットにもないので、地域の人に聞かないとわからないことも多くあるし、東京だったらすぐにできることでも、この場所だと本当に時間がかかったりする。やっぱりこの地域の人たちにとって当たり前の暮らしに大きな変化が起こることは、すぐには受け入れられないんですよね。だからこそ交流を重ね、小さなことから徐々に形にしていく必要があります。
でも、何かしたいと思ったら、都会にいるよりもやりやすく、面白いと思うんです!周りで他に何かをしている人も少ないため、チャンスが多かったり、リスクも小さくて済むから、なんでも試せるんです!だから、もしも興味があったらぜひ話を聞きにきて欲しいなと思っています。地域のみんなで全力でサポートします!
田舎に住みたいと思ってもなかなか動き出せない人も多いはず。でもこんなふうに応援してくれる人たちがいたら、会いにいくだけでも楽しいですよね。
もし興味がある方は、気軽に話を聞きに行ってみてはいかがでしょうか?
前田さんのように、ひょんなことから一歩進みだすかもしれませんよ!