院田悠生さん(いんだ・ゆうきさん、以下、院田さん)は、自身の好きなことを日々深掘りしながら、地域おこし協力隊として地元の課題にも向き合い、さまざまな活動に携わっています。
院田さん こっちに来てから、興味あることしかやってないんです。だから、毎日楽しくてしょうがないし、満たされるのを感じます。
と語る、院田さん。2020年の7月に地域おこし協力隊として市原にUターンし、地域の人と共に、米沢の森での里山整備、谷津田の休耕田の復興、畑の開墾、築200年以上の古民家再生などさまざまな活動に取り組んでいます。
もともと市原出身の院田さんは、大学入学を機に都内へ引っ越し、卒業後は千葉市で教職につきました。そのなかで1年生の担任をしていた際、授業の教材として地元の市原にザリガニを取りにいったことが、市原へのUターンを考えるきっかけになったそうです。
院田さん 本当は、子どもたちと近隣の水辺で、ザリガニなどを一緒に取りにいける場所があったらいいと思いました。自然や生き物を肌で感じてこそ、子どもの興味が広がっていくのになぁと。
それを機に、まだ里山が残っている市原で、子どもたちが家族と訪れることのできる自然環境を守りたい。子どもたちに、生き物ともっと触れ合ってほしい。そんな想いがうまれ、協力隊に応募しました。
現在は、地元で里山保全活動をしている方に”弟子入り”し、草刈りや、田んぼの畔や水路の整備、荒地の開拓など、自然に身を置いた暮らしを実践する院田さん。様々な活動の種をまきながら、地域の方と一緒に、米沢の森や谷津田をどう継続して守っていくか、という課題にも向き合っています。
院田さん これまで、刈払機なんて使ったことがなかったけど、今一番楽しいことは、草刈りかもしれないです(笑)。里山では、何かを新しく始めるとき、全ての基本が草刈りですね。
院田さんが一緒に作業をする地域の方々にとって、院田さんという新しい人が加わることは、活力となり、そして、院田さんは地域の方々から、知恵や技を教えていただき、受け継いでいく。このような支え合いの関係性を紡いでいくことが、地域の暮らしの本質なのかもしれません。
院田さんは、得意分野や好きなことを深堀りできる地域おこし協力隊の活動が肌に合っていると話します。
院田さん 継続していくためには、現実的に、どうしても後継者の問題があって。思いをもった地元の人がまだ活動しているうちに、自分が学べることを吸収して、お金が回る仕組みをつくる必要があると感じています。
と、長期的な目標を掲げながら日々活動を続けていますが、学校の先生だった頃は、日中に授業を行い、夕方に事務をこなす忙しい日々を送っていたと当時を振り返ります。
院田さん その頃は、今日明日のことを考えるのに精一杯で、学校で求められていたマルチタスクも実は苦手だったんです。
今は、これまであまり経験がなかった体を動かす機会は増えたけど、2つ3つのことをじっくりこなすスタイルになり、心にゆとりが生まれました。
「移住」というと、身構えてしまいがちですが、都心から1時間半の市原であれば、それほどハードルが高くないと言います。
院田さん ここには、自分の好きなことをやっている素敵な大人がたくさんいます。子どもたちがその背中を追うことで、血の通った経験が出来るし、生き方の多様性もここから広がるような気がします。
ひとりひとりとじっくり向き合う時間があるからこそ、関わる人の生き様に触れ、関係性を深めていけるのが市原の魅力だと話す院田さん。
人や自然に触れ、好きなことをとことんやってみる。そんなシンプルな暮らしを一度のぞきにきませんか?