木々が茂る丘陵とそれを縫うように流れる養老川。そのほとりに佇むのが、客室9部屋の小さな温泉宿「喜代元」です。
住所 | 千葉県市原市戸面397-3 |
---|---|
電話番号 | 0436-96-0345 |
ウェブサイト | http://www.ki-yo-moto.com |
かつてこの地は行商人で賑わう”ビジネス街”だったといいます。
秋葉さん もともとは竹や木材の切り出しを生業としてたけど、たまたま部屋数があってその人たちを泊めてみようってのがはじまり。
と二代目ご主人の秋葉保雄さん。
養老渓谷温泉街の代名詞とも言える黒湯も、家庭で古くから親しまれてきたものだそう。まさに、ここでの暮らしや地域の文脈に溶け込んだ温泉郷です。
秋葉さん 都心から2時間で養老渓谷にきて、昔ながらの手入れされていない原風景に出会って、名所はないんだけど、川があって山があって、いい空気を吸って。
それで自分をリセットして帰ってもらえればね、いいんじゃないかと僕は思う。
秋葉さんは、「気取らない素朴さ」がこの宿屋の原点だといいます。お客さんに第二の田舎に帰ってきたような、ほっとする時間を過ごして欲しいとの思いから、「今あるもの」を活かした宿を目指しています。
秋葉さん 観光名所をまんべんなく見て答え合わせをしたり、口コミとかで粗探しして、キリキリした泊まり方するんじゃなくて、出来ていないことも味だよって。
そんな肩肘張らない旅のかたちがここにはあります。
37才で地元に帰ってきて旅館を継いだ頃、秋葉さんの頭から離れなかったのは「養老渓谷ってどこですか?」という観光客からの言葉。観光マップもなく、訪れた人にどこか曖昧な印象を与えていたことに気づいたそうです。
それ以来、温泉旅館単体としてではなく、養老渓谷温泉街というエリア全体での見せ方を意識するようになった秋葉さん。飲食店や商店など地域のちょっと良いところを寄せ集めてお客様に楽しんでもらう。「小さな宿」だけれど、「縁の下の力持ち」として点と点をつなぐ働きかけをしています。
かつて行商人が行き交っていたこの地で、再び人の結びつきをつくるため、そんな秋葉さんが思い描く未来があります。
秋葉さん ここを実験の場として、たとえば、料理やホテルの専門学校に行ってる人が、社会に出る前に自分たちで食材を見つけ、地元の特徴が出るプランつくって、接客して、一連の流れを経験して旅館業の面白さを知る。
そのためにうちを使ってもらいたい。
そんな風にきっかけをつくってあげること。
それがこの温泉街を次世代に継ぐための秋葉さんの役割だといいます。
どこか懐かしくて人情深い旅館の喜代元。
あなたもここで、一息つける穏やかな時間を過ごしてみませんか?